愛とSEXで世界を救う映画『ショートバス』
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9.11から6年。ブラウン管越しに、まるで映画か何かのような現実味のない情報として受け取った日本では、その衝撃は忘れ去られゆくようだ。が、アメリカ国民ー—とりわけNYに住む人々にとっては、未だに大きな痛みであることはまちがいない。映画の中で見られるオーガズムは、演技ではなくすべて本物! というふれこみに違わず、冒頭からリアルな(人によっては目を覆いたくなるような) SEXやオナニーがこれでもかと繰り広げられる。
9/11以後、心の問題を抱える人が多くなったNY。音楽やお酒、自由な語り、心と身体を解放するようなSEXにひたれるアンダーグラウンドなサロン『ショートバス』がNYの街に希望の灯をともしている。
人々は、それぞれに深い苦悩を抱えながら、一縷の望みを託して『ショートバス』に集う。そこでは誰も疎外されたりしない。必ず自分を見てくれてる人がいる、思いを寄せてくれる人、救ってくれる人がいる……。『ショートバス』とはアメリカで大多数の子どもたちが乗るロングバスに対して、障がいを持った子どもや異常な天才児などが乗る短いバスのことを指すメタファーらしい。お金を絶対的な価値(勝ち)基準として、単一の生き方を押し付けようとする、危険な風潮が世界を覆いはじめているが、SEXの前には社会的地位も年齢も性別もセクシュアリティも人種も関係ない。貨幣ではなくSEXこそが、万人に共通のコミュニケーション手段なのだ。そして幸せで豊かな人生とはお金をたくさん持つことではなく、愛を知ることだというメッセージが、この時代だからこその説得力でひしひしと伝わってくる。
タイトル:『ショートバス』
2006/米/監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル/配給:アスミック・エース/シネマライズほか全国順次公開中
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